コナンの映画ってどんな人が作っているの?
どの作品がどんな監督・脚本の組み合わせだったか知りたい!
これまでに28作品が公開されている劇場版「名探偵コナン」。
その魅力の裏には、緻密なストーリーと迫力ある演出を支える、監督と脚本家たちの存在があります。
同じキャラクターが登場していても、作品ごとに雰囲気や描かれ方が違うのは、スタッフの手腕によるもの。
ミステリー色の濃いもの、アクションが映えるもの、キャラの恋模様が丁寧に描かれたものなど、個性は様々です。
そこで今回は、歴代の劇場版コナンを支えてきた監督・脚本の組み合わせを一覧でご紹介します!
コナン映画の監督・脚本を一覧で紹介!

作品名 | 公開日 | 監督 | 脚本 | 興行収入 |
---|---|---|---|---|
時計じかけの摩天楼 | 1997年4月19日 | こだま兼嗣 | 古内一成 | 11億円 |
14番目の標的(ターゲット) | 1998年4月18日 | こだま兼嗣 | 古内一成 | 18.5億円 |
世紀末の魔術師 | 1999年4月17日 | こだま兼嗣 | 古内一成 | 26億円 |
瞳の中の暗殺者 | 2000年4月22日 | こだま兼嗣 | 古内一成 | 25億円 |
天国へのカウントダウン | 2001年4月21日 | こだま兼嗣 | 古内一成 | 29億円 |
ベイカー街の亡霊 | 2002年4月20日 | こだま兼嗣 | 野沢尚 | 34億円 |
迷宮の十字路(クロスロード) | 2003年4月19日 | こだま兼嗣 | 古内一成 | 32億円 |
銀翼の奇術師(マジシャン) | 2004年4月17日 | 山本泰一郎 | 古内一成 | 28億円 |
水平線上の陰謀(ストラテジー) | 2005年4月9日 | 山本泰一郎 | 古内一成 | 21.5億円 |
探偵たちの鎮魂歌(レクイエム) | 2006年4月15日 | 山本泰一郎 | 柏原寛司 | 30.3億円 |
紺碧の棺(ジョリー・ロジャー) | 2007年4月21日 | 山本泰一郎 | 柏原寛司 | 25.3億円 |
戦慄の楽譜(フルスコア) | 2008年4月19日 | 山本泰一郎 | 古内一成 | 24.2億円 |
漆黒の追跡者(チェイサー) | 2009年4月18日 | 山本泰一郎 | 古内一成 | 35億円 |
天空の難破船(ロスト・シップ) | 2010年4月17日 | 山本泰一郎 | 古内一成 | 32億円 |
沈黙の15分(クォーター) | 2011年4月16日 | 山本泰一郎(総監督) 静野孔文(監督) | 古内一成 | 31.5億円 |
11人目のストライカー | 2012年4月14日 | 山本泰一郎(総監督) 静野孔文(監督) | 古内一成 | 32.9億円 |
絶海の探偵(プライベート・アイ) | 2013年4月20日 | 静野孔文 | 櫻井武晴 | 36.3億円 |
異次元の狙撃手(スナイパー) | 2014年4月19日 | 静野孔文 | 古内一成 | 41.1億円 |
業火の向日葵(ひまわり) | 2015年4月18日 | 静野孔文 | 櫻井武晴 | 44.8億円 |
純黒の悪夢(ナイトメア) | 2016年4月16日 | 静野孔文 | 櫻井武晴 | 63.3億円 |
から紅の恋歌(ラブレター) | 2017年4月15日 | 静野孔文 | 大倉崇裕 | 68.9億円 |
ゼロの執行人 | 2018年4月13日 | 立川譲 | 櫻井武晴 | 91.8億円 |
紺青の拳(フィスト) | 2019年4月12日 | 永岡智佳 | 大倉崇裕 | 93.7億円 |
緋色の弾丸 | 2021年4月16日 | 永岡智佳 | 櫻井武晴 | 76.5億円 |
ハロウィンの花嫁 | 2022年4月15日 | 満仲勧 | 大倉崇裕 | 97.8億円 |
黒鉄の魚影(サブマリン) | 2023年4月14日 | 立川譲 | 櫻井武晴 | 138.8億円 |
100万ドルの五稜星(みちしるべ) | 2024年4月12日 | 永岡智佳 | 大倉崇裕 | 158.0億円 |
隻眼の残像(フラッシュバック) | 2025年4月18日 | 重原克也 | 櫻井武晴 | 145.9億円 |
まずは映画コナンの監督・脚本の一覧を表でまとめたのでチェックしていきましょう!
コナン映画の各監督の特徴

劇場版『名探偵コナン』は、1997年の第1作『時計じかけの摩天楼』から現在まで、さまざまな監督が作品を手掛けてきました。
アクションを得意とする監督、ミステリー描写に長けた監督、映像美で魅せる監督など、個性豊かな演出スタイルが映画をより面白くしています。
そこでここでは、歴代のコナン映画の監督7人の人物像や演出傾向をもとに、それぞれの特徴を紹介していきます。
映画コナンの監督1. こだま兼嗣(こだま けんじ)
〜監督を担当したコナン映画の一覧〜
第1作目:時計じかけの摩天楼(公開日:1997年4月19日)
第2作目:14番目の標的(公開日:1998年4月18日)
第3作目:世紀末の魔術師(公開日:1999年4月17日)
第4作目:瞳の中の暗殺者(公開日:2000年4月22日)
第5作目:天国へのカウントダウン(公開日:2001年4月21日)
第6作目:ベイカー街の亡霊(公開日:2002年4月20日)
第7作目:迷宮の十字路(公開日:2003年4月19日)
代表的なアニメ作品:ルパン三世、シティーハンター、キャッツ♥アイ
コナン映画の初代監督としてシリーズの土台を築いた人物。
『ルパン三世』『シティーハンター』などにも関わってきたベテランで、アニメ業界でも名の知れた存在です。
第1作「時計じかけの摩天楼」から第7作「迷宮の十字路」までを担当し、ミステリー・アクション・ラブコメのバランスを絶妙に取り入れた作風が特徴。
ストーリー性の深さと完成度の高さで今も根強い人気があります。
映画コナンの監督2. 山本泰一郎(やまもと やすいちろう)
〜監督を担当したコナン映画の一覧〜
第8作目:銀翼の奇術師(公開日:2004年4月17日)
第9作目:水平線上の陰謀(公開日:2005年4月9日)
第10作目:探偵たちの鎮魂歌(公開日:2006年4月15日)
第11作目:紺碧の棺(公開日:2007年4月21日)
第12作目:戦慄の楽譜(公開日:2008年4月19日)
第13作目:漆黒の追跡者(公開日:2009年4月18日)
第14作目:天空の難破船(公開日:2010年4月17日)
第15作目:沈黙の15分(公開日:2011年4月16日)※総監督として担当。監督は静野孔文。
第16作目:11人目のストライカー(公開日:2012年4月14日)※総監督として担当。監督は静野孔文。
代表的なアニメ作品:名探偵コナン
テレビ版『名探偵コナン』の監督も務めており、キャラクターの性格や関係性を丁寧に描けることに定評がある人物。
劇場版では第8作「銀翼の奇術師」から第14作「天空の難破船」までを担当。
アクションは少なめですが、コナンたちの個性や人間関係がしっかり描かれており、キャラクターを深く知れる作品が多いのが特徴です。
映画コナンの監督3. 静野孔文(しずの こうぶん)
〜監督を担当したコナン映画の一覧〜
第15作目:沈黙の15分(公開日:2011年4月16日)※総監督は山本泰一郎。監督は静野孔文。
第16作目:11人目のストライカー(公開日:2012年4月14日)
第17作目:絶海の探偵(公開日:2013年4月20日)
第18作目:異次元の狙撃手(公開日:2014年4月19日)
第19作目:業火の向日葵(公開日:2015年4月18日)
第20作目:純黒の悪夢(公開日:2016年4月16日)
第21作目:から紅の恋歌(公開日:2017年4月15日)
主なアニメ作品:ルパン三世VSキャッツ・アイ、劇場版 シドニアの騎士、モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け
アニメだけでなく実写映像の演出経験もある監督で、2011年の「沈黙の15分」から7作品を手がけました。
静野氏の手掛ける作品の大きな特徴が、“とにかくド派手なアクション”。
ビルの爆破、列車事故、大規模な追跡劇など、最初から最後までスケールが大きいです。
一方でミステリー要素がやや薄く、アクション映画に近い雰囲気が強いため、推理を楽しみたい人には物足りなく感じるかも。
ファンの間でも意見が分かれるタイプの監督です。
映画コナンの監督4. 立川譲(たちかわ ゆずる)
〜監督を担当したコナン映画の一覧〜
第22作目:ゼロの執行人(公開日:2018年4月13日)
第26作目:黒鉄の魚影(公開日:2023年4月14日)
主なアニメ作品:デス・ビリヤード、BLUE GIANT、モブサイコ100
「モブサイコ100」や「デス・パレード」などで知られている監督。
コナン映画では「ゼロの執行人」や「黒鉄の魚影」を担当しました。
映像の美しさやアクションの見せ方にこだわりがあり、見た目自体が面白い作品になっています。
また、IT犯罪やテロなど現代的なテーマを取り入れ、物語にリアリティを持たせているのも特徴。
特に大人の視聴者から高く評価されています。
映画コナンの監督5. 永岡智佳(ながおか ちか)
〜監督を担当したコナン映画の一覧〜
第23作目:紺青の拳(公開日:2019年4月12日)
第24作目:緋色の弾丸(公開日:2021年4月16日)
第27作目:100万ドルの五稜星(公開日:2024年4月12日)
主なアニメ作品:うたのプリンスさまっシリーズ
コナン映画シリーズでは初となる女性監督です。
「紺青の拳」「緋色の弾丸」「100万ドルの五稜星」を担当。
以前から演出としてシリーズに関わっていたこともあり、コナンのキャラクターの描写には安定感があります。
アクションやミステリーだけでなく、ラブコメ要素や登場人物たちの関係性に焦点をあてた演出が得意。
特に平次と和葉など恋愛描写が印象に残る作品が多くなっています。
映画コナンの監督6. 満仲勧(みつなか すすむ)
〜監督を担当したコナン映画の一覧〜
第25作目:ハロウィンの花嫁(公開日:2022年4月15日)
主なアニメ作品:ハイキュー!!シリーズ
『ハイキュー!!』などで活躍したアニメーター出身の監督。
コナン映画では、「ハロウィンの花嫁」で劇場版初監督を務めました。
原作に登場した事件をベースに、新しいキャラクターや過去の因縁をうまく組み込むストーリーの上手さが特徴的。
特に登場キャラクターのバランス感覚が秀逸で、大勢のキャラクターが登場しても、ひとりひとりに見せ場を与える構成が上手です。
映画コナンの監督7. 重原克也(しげはら かつや)
〜監督を担当したコナン映画の一覧〜
第28作目:隻眼の残像(公開日:2025年4月18日)
主なアニメ作品:映画ドラえもん のび太の新恐竜(演出)、すずめの戸締まり(演出補佐)、ラブライブ!サンシャイン!!(作画監督)、黒鉄の魚影(演出)
2025年の「隻眼の残像」で初めて劇場版の監督に就任した新鋭監督。
過去には「映画ドラえもん のび太の新恐竜」「ラブライブ!サンシャイン!!」などで演出や絵コンテを担当し、コナン映画では「黒鉄の魚影」にも演出として参加しています。
まだ実績は少ないものの、これまでの参加歴や演出技術を活かした“丁寧な仕上がり”が期待されていて、今後の成長に注目が集まる監督です。
コナン映画の脚本家の特徴

劇場版『名探偵コナン』の魅力は、監督だけでなく“脚本家”の力にも大きく支えられています。
原作との繋ぎ目などは脚本家による力が大きいのが特徴となります。
ミステリーのトリック、キャラクター同士の関係性、テンポの良い会話、感動のラスト――それらを組み立てているのが脚本家たちです。
ここでは、歴代の代表的な脚本家5人の人物像や作風について紹介します。
映画コナンの脚本1. 古内一成(こうち かずなり)
〜脚本を担当したコナン映画の一覧〜
第1作目:時計じかけの摩天楼(公開日:1997年4月19日)
第2作目:14番目の標的(公開日:1998年4月18日)
第3作目:世紀末の魔術師(公開日:1999年4月17日)
第4作目:瞳の中の暗殺者(公開日:2000年4月22日)
第5作目:天国へのカウントダウン(公開日:2001年4月21日)
第7作目:迷宮の十字路(公開日:2003年4月19日)
第8作目:銀翼の奇術師(公開日:2004年4月17日)
第9作目:水平線上の陰謀(公開日:2005年4月9日)
第12作目:戦慄の楽譜(公開日:2008年4月19日)
第13作目:漆黒の追跡者(公開日:2009年4月18日)
第14作目:天空の難破船(公開日:2010年4月17日)
第15作目:沈黙の15分(公開日:2011年4月16日)
第16作目:11人目のストライカー(公開日:2012年4月14日)
第18作目:異次元の狙撃手(公開日:2014年4月19日)
古内一成はコナン映画の脚本を長年支えてきた初期の中心人物で、実に14作品を担当しました。
もともとは『太陽にほえろ!』や『刑事貴族』など、人気刑事ドラマの脚本を数多く手がけており、緻密なミステリーとリアルな人間描写が得意です。
特に、こだま兼嗣監督との相性が抜群で、「天国へのカウントダウン」や「瞳の中の暗殺者」など、コナン映画の王道ともいえる作品を数多く生み出しました。
2016年に亡くなった後も、多くのファンから“最もコナンらしい脚本家”として愛されています。
映画コナンの脚本2. 野沢尚(のざわ ひさし)
〜脚本を担当したコナン映画の一覧〜
第6作目:ベイカー街の亡霊(公開日:2002年4月20日)
推理小説『破線のマリス』などで知られる直木賞作家で、脚本家としても活躍した人物です。
コナン映画では第6作「ベイカー街の亡霊」の脚本を担当。
19世紀末のロンドンという仮想空間を舞台にした設定で、従来のコナン映画とは一線を画した作品です。
特に「人間とは何か?」「血筋とは何か?」という重厚なテーマを描いていて、今もなおファンの間で語り継がれる名作。
2004年に亡くなりましたが、もし存命であれば、コナン映画にさらに新しい風を吹き込んでくれたと思います。
映画コナンの脚本3. 柏原寛司(かしわばら ひろし)
〜脚本を担当したコナン映画の一覧〜
第10作目:探偵たちの鎮魂歌(公開日:2006年4月15日)
第11作目:紺碧の棺(公開日:2007年4月21日)
刑事ドラマ『あぶない刑事』『西部警察』などを手がけたベテラン脚本家で、映画監督としての顔も持っています。
コナン映画では「探偵たちの鎮魂歌」と「紺碧の棺」の2作の脚本を担当。
「探偵たちの鎮魂歌」は節目の第10作で、シリーズ10周年の節目にふさわしく、主要キャラクターが勢ぞろいする“お祭り”的な要素が魅力の作品に。
一方、『紺碧の棺』は舞台や演出がやや地味めで、ファンからの評価はやや分かれる作品に。
作品ごとに異なるテイストを打ち出す脚本家だと思います。
映画コナンの脚本4. 櫻井武晴(さくらい たけはる)
〜脚本を担当したコナン映画の一覧〜
第17作目:絶海の探偵(公開日:2013年4月20日)
第19作目:業火の向日葵(公開日:2015年4月18日)
第20作目:純黒の悪夢(公開日:2016年4月16日)
第22作目:ゼロの執行人(公開日:2018年4月13日)
第24作目:緋色の弾丸(公開日:2021年4月16日)
第26作目:黒鉄の魚影(公開日:2023年4月14日)
第28作目:隻眼の残像(公開日:2025年4月18日)
『相棒』や『科捜研の女』など数多くの刑事ドラマを手がけてきた実力派の脚本家。
コナン映画には、第17作『絶海の探偵(プライベート・アイ)』から参加。以降も複数の作品を担当し、シリーズに新たな緊張感を加えてきました。
櫻井氏の脚本は、現実味のあるテーマ設定が特徴。
「ゼロの執行人」では検察制度やIoTテロなど、少し難しい内容が描かれました。
また、キャラクターの会話やセリフ回しにもドラマらしいリアルさがあり、ストーリー全体にサスペンスのような空気感を与えるのも強みです。
一方で、ミステリーやアクションとのバランスには好みが分かれやすく、作品によって評価が大きく分かれることもあります。
映画コナンの脚本5. 大倉崇裕(おおくら たかひろ)
〜脚本を担当したコナン映画の一覧〜
第21作目:から紅の恋歌(公開日:2017年4月15日)
第23作目:紺青の拳(公開日:2019年4月12日)
第25作目:ハロウィンの花嫁(公開日:2022年4月15日)
第27作目:100万ドルの五稜星(公開日:2024年4月12日)
もともと推理小説家として活躍しており、『福家警部補の挨拶』『白戸修の事件簿』などを執筆していた人物。
青山先生からの推薦で脚本に起用され、第21作「から紅の恋歌」からは常連脚本家となりました。
アニメ脚本の経験はなかったものの、キャラクターの個性を生かした自然な会話や、しっかりと練られたミステリー構成で高く評価されています。
特に『ハロウィンの花嫁』では、登場人物が多い中でも混乱なくストーリーを展開し、事件と人間関係を丁寧に描いた点が印象的でした。
これからのコナン映画を支える存在として、ますます期待が高まっています。
【監督×脚本家別】各映画ごとに紹介!
劇場版コナンの魅力は、監督と脚本家の“組み合わせ”によって作品の雰囲気がガラッと変わる点にもあります。
ここでは、代表的なコンビごとの作品と特徴を見ていきましょう。
監督:こだま兼嗣・脚本:古内一成
〜監督・脚本でタッグを組んで制作したコナン映画の一覧〜
第1作目:時計じかけの摩天楼(公開日:1997年4月19日)
第2作目:14番目の標的(公開日:1998年4月18日)
第3作目:世紀末の魔術師(公開日:1999年4月17日)
第4作目:瞳の中の暗殺者(公開日:2000年4月22日)
第5作目:天国へのカウントダウン(公開日:2001年4月21日)
第7作目:迷宮の十字路(公開日:2003年4月19日)
こだま兼嗣監督×古内一成脚本家のコンビは、まさに「コナン映画の原点」ともいえる存在。
第1作『時計じかけの摩天楼』から第7作『迷宮の十字路』までのうち6作品を手がけており、シリーズ初期の土台を築いた伝説的タッグです。
このコンビの最大の魅力は、ミステリー・アクション・ラブコメというコナン映画の三大要素を“ちょうどいいバランス”で詰め込んでいる点。
事件の推理を軸にしつつも、コナン・蘭・新一の関係性を丁寧に描くことで、子どもから大人まで楽しめる作品に仕上げています。
また、西洋美術や王朝史、日本の伝承などを物語に取り入れ、作品に深みを与えているのも特徴。
たとえば『世紀末の魔術師』ではロマノフ王朝の秘宝、『迷宮の十字路』では義経といった、現実世界の歴史や文化を上手くストーリーに組み込んでいました。
派手な爆破シーンなどもあくまで演出のひとつであり、ストーリーの一部として自然に溶け込んでいる点からも、脚本と演出の完成度の高さが感じられます。
今なお多くのファンが「これぞコナン映画」と語る初期作品の魅力は、こだま×古内コンビによる丁寧な作品づくりによって生まれたとも言えると思います。
監督:こだま兼嗣・脚本:野沢尚
〜監督・脚本でタッグを組んで制作したコナン映画の一覧〜
第6作目:ベイカー街の亡霊(公開日:2002年4月20日)
こだま兼嗣監督×野沢尚脚本家は、今なお根強いファンに支持されている“異色作”を世に送り出したコンビ。
『ベイカー街の亡霊』はこだま監督の持ち味である重厚な演出、脚本家・野沢尚の独創的なストーリーが融合し、コナン映画の中でも一風変わった一作に仕上がっています。
物語の中ではミステリーに加えて、血筋、教育、格差など社会的なテーマも盛り込まれており、大人にも深く刺さる内容に。
サスペンスに定評のある野沢尚のアイデアを、こだま監督が丁寧な演出で支えたことで、SFとミステリーが融合した唯一無二のコナン映画を誕生させました。
監督:山本泰一郎・脚本:古内一成
〜監督・脚本でタッグを組んで制作したコナン映画の一覧〜
第8作目:銀翼の奇術師(公開日:2004年4月17日)
第9作目:水平線上の陰謀(公開日:2005年4月9日)
第12作目:戦慄の楽譜(公開日:2008年4月19日)
第13作目:漆黒の追跡者(公開日:2009年4月18日)
第14作目:天空の難破船(公開日:2010年4月17日)
山本泰一郎監督は、アニメ『名探偵コナン』の初期から演出に関わってきた人物で、キャラクターの性格や関係性を細かく描くことに定評があります。
一方の脚本家の古内一成は、劇場版コナンの脚本を最多本数手がけた、まさに“コナン映画の顔”ともいえる存在。
この2人のタッグは、キャラクター重視のストーリー展開が特徴的です。
『銀翼の奇術師』『漆黒の追跡者』といった代表作では、それぞれ怪盗キッド、黒の組織といったテーマを扱いながらも、派手なアクションより人物のやり取りや心情描写に重点が置かれました。
キャラクターの行動や感情に一貫性があり、ファンが感情移入しやすい作品に仕上がっていると思います。
ただしその分、推理の難易度やトリックの複雑さに関しては、こだま監督時代に比べるとやや控えめな印象に。
それでも、人物描写の魅力と安定したストーリーによって、高い満足感を得られる作品を多数生み出した名コンビといえます。
監督:山本泰一郎・脚本:柏原寛司
〜監督・脚本でタッグを組んで制作したコナン映画の一覧〜
第10作目:探偵たちの鎮魂歌(公開日:2006年4月15日)
第11作目:紺碧の棺(公開日:2007年4月21日)
山本泰一郎監督と柏原寛司氏のタッグは『探偵たちの鎮魂歌』『紺碧の棺』の2作品で実現しました。
『探偵たちの鎮魂歌』はシリーズ10周年の記念作として制作され、コナンをはじめ、平次やキッドなどおなじみのキャラクターが勢ぞろいする“集大成”のような一本。
キャラごとの見せ場や絡み方のバランスが絶妙で、ファン向けのサービス精神が随所に感じられる作品に。推理要素は比較的シンプルですが、テンポの良さとエンタメ性の高さで多くの支持を集めました。
一方の『紺碧の棺』は、コナン・蘭・園子の3人を中心に進む“離島ミステリー”。
海賊伝説や財宝探しといった冒険要素はあるものの、舞台設定や演出がやや地味で、アクションやサスペンス性も控えめ。シリーズの中では評価が分かれる作品となりました。
柏原氏の脚本は、軽快な会話劇やテンポの良さが持ち味ですが、複雑な推理やサスペンスはあまり重視されていない印象。
その点で山本監督の丁寧で重厚な演出とは若干の“噛み合わせの難しさ”があったのかなと思います。
この2作で終わったのも、相性の難しさが影響したのかもしれないですね。
総監督:山本泰一郎・監督:静野孔文・脚本:古内一成
〜監督・脚本でタッグを組んで制作したコナン映画の一覧〜
第15作目:沈黙の15分(公開日:2011年4月16日)
第16作目:11人目のストライカー(公開日:2012年4月14日)
山本泰一郎総監督、静野孔文監督、古内一成脚本によるトリオが手がけたのが、『沈黙の15分』と『11人目のストライカー』の2作。
どちらも古内氏の持ち味である緻密な伏線と人物描写、山本氏による“コナンらしさ”を守る安定感、そして静野氏のダイナミックな映像演出が融合。
新たな風を取り入れながらも、これまでの魅力をしっかりと継承した完成度の高い作品に仕上げたトリオです。
監督:静野孔文・脚本:櫻井武晴
〜監督・脚本でタッグを組んで制作したコナン映画の一覧〜
第17作目:絶海の探偵(公開日:2013年4月20日)
第19作目:業火の向日葵(公開日:2015年4月18日)
第20作目:純黒の悪夢(公開日:2016年4月16日)
静野監督と櫻井脚本家の組み合わせは『絶海の探偵』『業火の向日葵』『純黒の悪夢』の3作品で展開され、コナン映画の“アクション路線”を決定づけたタッグ。
ファンの間で賛否がはっきり分かれることで有名ですが、個々の作品に目を向けると、それぞれ異なる魅力があります。
『絶海の探偵』では、海上自衛隊のイージス艦を舞台に、スパイ戦や潜入工作を描いたスケールの大きな物語が展開。ミステリー要素は控えめながら、”国家”という緊張感が特徴です。
一方で『業火の向日葵』では、当初の脚本が大幅に改変され、殺人事件すら描かれない異例の内容に。芸術をテーマにしたはずが、爆破シーン中心のアクション作品となり、評価は大きく分かれる結果になりました。
監督と脚本家の間で、制作方針の食い違いがあったとも言われています。
そんな中で2人の相性が最もよく発揮されたのが『純黒の悪夢』です。
黒の組織が本格的に登場し、激しいカーチェイスや銃撃戦が繰り広げられ、緊張感とアクションが見事にハマった名作。
“ミステリーらしさ”よりも“ド派手な演出”を象徴するタッグだと思います。
監督:静野孔文・脚本:古内一成
〜監督・脚本でタッグを組んで制作したコナン映画の一覧〜
第18作目:異次元の狙撃手(公開日:2014年4月19日)
静野孔文監督が劇場版コナンに初参加したのは、第15作『沈黙の15分』。
そして2年後、第18作『異次元の狙撃手(スナイパー)』で、ベテラン脚本家・古内一成との初タッグが実現しました。
この作品は、古内氏にとって最後の劇場版脚本でもあり、ファンにとっても思い入れ深い一作となっています。
静野氏はアクション演出を得意としており、本作でも銃撃戦やカーチェイスなどの迫力が特徴的。
一方で、古内氏による丁寧な人物描写と重厚なストーリー展開が作品の土台をしっかり支え、単なる派手なアクションにとどまらない“骨太なサスペンス”に仕上がっています。
爆発シーンなど映画ならではのスケール感も随所に取り入れられ、シリーズの新たな局面を感じさせるバランスの取れた一作に。
静野氏と古内氏は、派手なアクションと深みのある人物描写を高いレベルで融合させた、完成度の高い作品を作り上げられるタッグだといえます。
監督:静野孔文・脚本:大倉崇裕
〜監督・脚本でタッグを組んで制作したコナン映画の一覧〜
第21作目:から紅の恋歌(公開日:2017年4月15日)
静野孔文監督と大倉崇裕脚本家のタッグは、第21作『から紅の恋歌(ラブレター)』でのみ実現しましたが、一作で強い印象を残しました。
アクション重視の印象が強い静野監督作品の中でも、本作は特に“ミステリーらしさ”が際立っており、シリーズの中でも異彩を放つ完成度になっています。
殺人事件の構成はもちろん、動機やトリックも分かりやすいものに。
静野氏らしい爆破や脱出といった派手なシーンも健在ですが、それらがストーリーと自然に融合している点が本作の大きな魅力。
大倉氏の緻密な構成力が加わったことで、アクション先行になりがちな静野作品に落ち着きと厚みをもたらしています。
ファンの間でも「静野監督作の中で最も完成度が高い」と評価されており、大倉氏の劇場版デビュー作としても、今後の活躍を期待させる鮮烈なスタートとなりました。
監督:立川譲・脚本:櫻井武晴
〜監督・脚本でタッグを組んで制作したコナン映画の一覧〜
第22作目:ゼロの執行人(公開日:2018年4月13日)
第26作目:黒鉄の魚影(公開日:2023年4月14日)
立川譲監督と櫻井武晴脚本家のタッグは、『ゼロの執行人』(2018年)と『黒鉄の魚影(サブマリン)』(2023年)の2作品を担当し、劇場版コナンに新たな方向性をもたらしました。
このコンビの特徴は、「社会性のあるテーマ」と「ハイクオリティなアクション演出」の融合。
『ゼロの執行人』では、公安・検察・IoTテロといった難解なテーマを盛り込みながらも、立川監督ならではの映像表現でスピード感あるアクションを展開。
安室透の人気も後押しして興行収入91.8億円の大ヒットを記録しました。
続く『黒鉄の魚影』では、灰原哀と黒の組織の因縁にスポットを当て、顔認証AIや潜水艦といった近未来的要素を巧みに織り交ぜたストーリーを展開。
こちらはシリーズ歴代最高となる興行収入138.8億円を達成しました。
櫻井氏の脚本は情報量が多く、やや難解に感じられることもありますが、立川氏の丁寧な演出が補完し、誰でも楽しめる作品として成立させています。
骨太なテーマと迫力を両立させた2時間を楽しみたい方におすすめなタッグです。
監督:永岡智佳・脚本:大倉崇裕
〜監督・脚本でタッグを組んで制作したコナン映画の一覧〜
第23作目:紺青の拳(公開日:2019年4月12日)
第27作目:100万ドルの五稜星(公開日:2024年4月12日)
永岡智佳監督と大倉崇裕脚本家のコンビは、『紺青の拳(フィスト)』(2019年)と『100万ドルの五稜星(みちしるべ)』(2024年)でタッグを組み、最近の劇場版コナンを代表する組み合わせの一つとなっています。
永岡監督は、劇場版コナン初の女性監督。キャラクターの感情表現や恋愛描写に優れており、華やかな演出に定評があります。一方、大倉氏は推理小説家出身で、事件の構成力や動機の描写に強みを持つ脚本家です。
『紺青の拳』では、シンガポールを舞台に怪盗キッドと京極真の対決が描かれ、スケール感あふれるアクションと異国情緒が特徴的。
ミステリー要素は控えめながら、平次と和葉の恋模様にも焦点が当てられ、キャラクター重視の作品として仕上がっています。
続く『100万ドルの五稜星』では、舞台を函館に移し、刀剣を巡る事件とともに、平次・和葉の恋模様にもスポットが当てられました。
大倉氏らしい王道ミステリーを軸にしつつ、永岡監督の演出によって感情に寄り添った描写が加わり、感情移入しやすい柔らかな作品に仕上がっています。
このコンビの魅力は、緊張感ある事件展開と同時に、キャラクターの恋愛や成長を丁寧に描けること。
柔らかさとドラマ性を兼ね備えた作品を生み出す注目のタッグです。
監督:永岡智佳・脚本:櫻井武晴
〜監督・脚本でタッグを組んで制作したコナン映画の一覧〜
第24作目:緋色の弾丸(公開日:2021年4月16日)
『緋色の弾丸』(2021年)で実現した永岡智佳監督と櫻井武晴氏のタッグ。
本作は、赤井秀一を中心に、世良真純・羽田秀吉・メアリーといった“赤井ファミリー”が全員登場する構成となっており、コナンファンにとって注目度の高い作品になりました。
物語では、リニアモーターカーや国際的なスポーツイベントを背景に、大規模なテロ未遂事件が描かれます。
スケールの大きさが魅力である一方、事件の動機や全体の構造がやや複雑で、観客にとって分かりづらいという声も。
櫻井氏のリアル志向で専門性の高い脚本が反映された結果と言えると思います。
一方、永岡監督の演出はキャラクターの感情に寄り添った丁寧なもので、赤井一家それぞれの個性や関係性がわかりやすく描かれていました。
ミステリー要素は抑えめで、「事件の解決」よりも「赤井ファミリーの魅力を描く」ことに重点が置かれた作品といえるでしょう。
キャラクターファンには刺さる一方、推理を重視する層には物足りなさを感じさせるかもしれませんね。
永岡氏と櫻井氏のコンビは、スケールの大きな設定とリアルな描写をベースに、キャラクターの感情や魅力を丁寧に描き出す、”キャラ重視の映像派タッグ”といえます。
監督:満仲勧・脚本:大倉崇裕
〜監督・脚本でタッグを組んで制作したコナン映画の一覧〜
第25作目:ハロウィンの花嫁(公開日:2022年4月15日)
満仲勧監督と大倉崇裕脚本家のタッグは、第25作『ハロウィンの花嫁』(2022年)で初めて実現しました。
満仲監督は、人気アニメ『ハイキュー!!』シリーズなどで知られる実力派で、実は過去に“偽名”でコナンのアニメ制作に関わっていたという経歴もあり、シリーズへの理解が非常に深い人物。
一方、大倉氏は『から紅の恋歌』以降、安定した評価を得ている脚本家で、ミステリーの構成力に定評があります。
『ハロウィンの花嫁』では、警察学校組の過去と現在、高木刑事と佐藤刑事の恋愛エピソードが交差する複層的なストーリーが展開されました。
登場キャラクターが非常に多いにもかかわらず、それぞれに見せ場が用意されているのが魅力。
特に、萩原・伊達といった原作では出番の少ない警察学校組をしっかりと描いており、原作スピンオフを知らない観客でも感情移入できる内容に仕上がっています。
満仲監督はテンポ感のある映像演出と、緊張と感動を巧みに操る演出が持ち味。
そこに大倉氏のブレのない脚本が加わることで、劇場版コナンとして理想的な完成度を実現しています。
「今後もこのコンビで観たい」と多くのファンに期待を抱かせる、新たな名タッグの誕生です。
監督:重原克也・脚本:櫻井武晴
〜監督・脚本でタッグを組んで制作したコナン映画の一覧〜
第28作目:隻眼の残像(公開日:2025年4月18日)
2025年公開の劇場版第28作『隻眼の残像(フラッシュバック)』で実現した重原克也監督と櫻井武晴脚本家のタッグ。
『隻眼の残像』では、毛利小五郎、大和敢助、諸伏高明といった“警察の名探偵たち”が中心人物として登場。
長野県警を舞台に、過去の未解決失踪事件と、現在に連なる連続殺人事件、さらに警察内部の陰謀が絡み合う、重厚なサスペンスが展開されます。
櫻井氏ならではの丁寧な脚本に、重原監督の繊細な演出が組み合わさることで、“静かな緊張感”が漂う作品に。
登場人物の視線や沈黙の間を活かした心理的な描写も光り、シリーズの中でも“落ち着いた大人向けコナン映画”として高い完成度を誇る作品です。
特に、重原氏は初監督作とは思えない安定感と洗練された仕上がりで、コナン映画に新しい風を吹き込む存在として、今後の活躍にも期待されています。
重原氏×櫻井氏は、静けさを大切にしながら、人物の内面に迫る心理サスペンスを丁寧に描き出す実力派タッグだと言えますね。
コナン映画の監督・脚本まとめ
コナンの映画は、監督や脚本家によって雰囲気やテーマが大きく変わります。
じっくりと謎を追うミステリーもあれば、ド派手なアクションが楽しめる作品、キャラクター同士の関係や恋模様にフォーカスした作品もあります。
同じキャラでも描かれ方が違っていたり、舞台や演出のテイストも様々。
誰がどんなふうに作ったかを意識して観てみると、今までとは違った楽しみ方ができるかもしれません。
ぜひお気に入りの監督や脚本家を見つけて、自分だけの最強タッグを考えてみてください。




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