『漆黒の追跡者』は、広域連続殺人を追う警察映画の顔と、黒ずくめの組織が本格参戦する組織映画の顔を同時に持つ劇場版です。
麻雀牌、七夕、北斗七星といった手がかりが一つずつつながりながら、後半では東都タワーを舞台に空気が一気に変わっていきます。ここでは事件の流れを時系列で整理しつつ、ラスト結末や伏線、そしてアイリッシュという存在が何を残したのかまでまとめていきます。
漆黒の追跡者(チェイサー)のネタバレありの事件の流れ

この映画の事件は、ただの広域連続殺人では終わりません。
前半は被害者たちの接点と麻雀牌の謎を追う本格ミステリーですが、その裏では黒ずくめの組織が別の目的で警察内部へ入り込んでいます。コナンは連続殺人の真相に近づきながら、同時に組織の影も追うことになり、物語は二重に緊張していきます。
時系列で追うと、連続殺人事件と黒ずくめの組織の思惑が東都タワーでひとつに重なる構造がかなりきれいに見えてきます。
東京近県で広域連続殺人事件が発生し、現場に麻雀牌が残される
物語は七夕が近い頃、東京・神奈川・静岡・長野で計6人が犠牲になる広域連続殺人事件から始まります。
どの現場にもアルファベットが刻まれた麻雀牌が残されていて、警察は同一犯による事件として捜査を始めます。最初から手がかりが不気味にそろっていて、普通の殺人事件ではない空気が強く出ています。
毛利小五郎が合同捜査会議へ呼ばれ、コナンも警察の動きを追い始める
小五郎は警察から合同捜査会議へ呼ばれ、コナンも当然のようについていきます。
警視庁だけでなく各県警の刑事が集まることで、事件がかなり大きいことが早い段階で伝わります。ここで映画は一気に”警察オールスター映画”の顔を見せ始めます。
捜査会議の直後、コナンが「七つの子」の音階から黒ずくめの組織の気配に気づく
会議のあと、コナンは山村警部から、ある刑事が携帯メールを打つ時のプッシュ音が童謡「七つの子」に似ていたと聞かされます。
コナンはそれが黒ずくめの組織のボスのメールアドレス入力音だと気づき、事件の場に組織の人間が紛れていると察知します。ここで連続殺人事件は、一気に”組織映画”の色を帯び始めます。
被害者たちの接点が見えないまま、コナンは警察内部に潜む組織の人間を疑う
被害者同士にはぱっと見で分かる接点がなく、警察の捜査もなかなか前へ進みません。
そんな中でコナンだけは、連続殺人と並行して”警察内部に潜る組織の人間”の存在を意識して動き始めます。事件の外側で別の事件が進んでいる感覚が、この映画の独特な緊張感につながっています。
ベルモットの影が見え始め、事件の裏に”メモリーカード”の存在が浮上する
捜査の途中でベルモットが人質役として現れ、コナンは組織側の動きとも接触します。
そこで見えてくるのが、犯人が偶然持ち去ったあるメモリーカードを組織が回収しようとしているという裏の目的です。連続殺人の動機とは別に、組織が警察捜査へ絡む理由がここでようやく見え始めます。
被害者たちが一昨年の七夕に京都のホテル火災でつながっていたことが分かる
捜査を進めるうちに、被害者たちは一昨年の七夕に京都のホテル火災へ関わっていたことが分かります。
その火災で亡くなった本上なな子の存在が浮かび上がり、事件は急に私怨の色を帯びます。ここでバラバラだった被害者たちが一本の線でつながり始めます。
水谷浩介が容疑者として浮かび、コナンと平次が別ルートで真相を追う
火災を生き延びた本上なな子の恋人・水谷浩介が、強い容疑者として浮上します。
コナンは関東側から、水谷を追う平次は別ルートから真相に近づいていきます。この東西同時進行の流れが、後半の東都タワーへ向かうスピード感を強くしています。
アイリッシュが警察関係者に変装したまま、コナン=新一へ近づいていく
そのころアイリッシュは、警察関係者に変装したまま捜査本部の中へ潜り込んでいました。しかも彼はメモリーカードの回収だけでなく、独自にコナンの正体まで探り始めています。連続殺人の犯人が別にいるのに、コナンにとってはさらに危険な相手が真横にいるのがこの映画の怖さです。
七夕当日、北斗七星と北極星の配置から最後の犯行現場が東都タワーだと判明する
事件現場の配置が北斗七星と北極星を描いていると分かったことで、最後の犯行現場が東都タワーだと判明します。
七夕の日に東都タワーへ全員が集まる流れは、手がかりの回収としてかなりきれいです。ここで映画は、謎解きから一気にクライマックスへなだれ込んでいきます。
東都タワーで水谷浩介と対峙し、さらに本上和樹が真犯人だと明らかになる
東都タワーでコナンは水谷浩介と向き合いますが、そこで真相がひっくり返ります。
本当に復讐を実行していたのは水谷ではなく、本上なな子の兄・本上和樹でした。ここで連続殺人の真犯人と、組織の動きがようやく同じ場所で交差します。
事件解決直後、松本管理官の正体がアイリッシュだったと判明し、コナンが連れ去られる
本上和樹が制圧された直後、事態は終わりません。
松本管理官だと思われていた人物の正体がアイリッシュだと明かされ、コナンはそのまま連れ去られます。解決したはずの事件が、その場でいきなり組織パートへ切り替わるのが『漆黒の追跡者』の大きな特徴です。
ジンたちがヘリで現れ、東都タワーで黒ずくめの組織との直接対決が始まる
アイリッシュとコナンの前に、ジン、ウォッカ、キャンティ、コルンが攻撃ヘリで現れます。
組織はメモリーカードごとアイリッシュを始末しようとし、その場にいたコナンまで機銃掃射で追い詰めます。ここで映画はミステリーから、完全な黒ずくめの組織バトルへ変わります。
アイリッシュの最期とコナンの脱出で事件は決着するが、組織との因縁はさらに深まる
アイリッシュは撃たれながらも、最後はコナンをかばう側へ回ります。
コナンは阿笠博士のサスペンダーを使って東都タワーから脱出し、ヘリを墜落へ追い込みますが、組織そのものを止めたわけではありません。事件は終わっても、コナンと組織の距離がさらに近づいてしまった後味が強く残ります。
漆黒の追跡者(チェイサー)のラスト結末

『漆黒の追跡者』のラストは、連続殺人事件の解決よりも、その直後に始まる組織との直接対決のほうが強く印象に残ります。
東都タワーという高所の密室に近い舞台で、真犯人の復讐、アイリッシュの正体、ジンたちの冷酷さが一気に重なります。しかも最後は”勝った”というより、”もっと深い場所まで踏み込んでしまった”感覚が残ります。
だからこの映画の結末は、事件解決の爽快感よりも、黒ずくめの組織の底知れなさを刻みつける終わり方としてかなり強いです。
東都タワーが最後の舞台になった理由
現場に残された麻雀牌の位置関係を追うと、最後の一点は北極星にあたる場所になります。
その答えが東都タワーで、七夕と星の配置を使った犯人の計画がここで完成します。だから東都タワーは、組織の乱入以前に、連続殺人事件そのもののゴールでもありました。
本上和樹の復讐はどう決着したのか
本上和樹は妹・なな子を死なせた人々への復讐として殺人を重ねていました。
しかし東都タワーでコナンに見破られ、最後は”松本管理官”に制圧されます。その直後にさらに上の脅威としてアイリッシュが正体を現すので、本上の復讐はあくまで前段だったと分かる形で終わります。
松本管理官の正体がアイリッシュだと分かる瞬間の衝撃
本上和樹を取り押さえた松本管理官は、一見すると事件を収めた側に見えます。
けれどその人物が実はアイリッシュの変装だったと分かった瞬間、観客もコナンも足元をすくわれるような感覚になります。警察の中にいたはずの”安心できる大人”が一気に最も危険な存在へ変わるのが衝撃的です。
ジンたちはなぜアイリッシュごと始末しようとしたのか
組織にとって最優先なのは、メモリーカードと内通者情報を外へ漏らさないことでした。
だからアイリッシュがどれだけ幹部クラスでも、不要になれば切り捨てられます。この場面で、組織が仲間すら例外なく処分対象にする冷酷な集団だと改めて見せつけられます。
コナンはどうやってヘリの猛攻から生還したのか
コナンは東都タワーの上層部から阿笠博士のサスペンダーを使って飛び降りるように脱出します。
さらにその反動を利用してヘリを損傷させるところまで持ち込みますが、これは逃げ切ったというより命がけの突破でした。クライマックスらしい派手さがありながら、ずっと一歩間違えば終わりという怖さが続きます。
アイリッシュが最後に残した言葉が重い理由
アイリッシュはピスコを慕っていた過去から、ジンに強い反感を抱いていました。
死の間際にコナンへ”いつまでも追い続けるがいい”という意味の言葉を残すことで、単なる敵役では終わらない後味を残します。組織の一員でありながら、コナンに別の理由を与えて去るところがこのキャラの重さです。
事件が終わったあとも黒ずくめの組織の怖さが消えない終わり方
本上和樹が捕まり、東都タワーの危機も乗り切ったのに、気持ちは晴れません。
アイリッシュも消え、メモリーカードも失われ、組織そのものはまだ何も壊れていないからです。終わったあとに残るのは、事件解決の達成感より”相手はまだすぐ近くにいる”という嫌な感覚です。
漆黒の追跡者(チェイサー)の伏線と気になる描写

この映画の伏線は、前半では別々の小ネタや違和感に見えます。麻雀牌のアルファベット、持ち物の消失、七つの子、カブトムシのV字テープまで、最初は散らばっているように見える情報が、後半でかなり気持ちよくつながります。
組織映画としての濃さが強い作品ですが、ミステリーとしてもかなり丁寧に伏線が積まれているのが特徴です。
見返すと、黒ずくめの組織の圧だけでなく、連続殺人の手がかりもかなりきれいに配置されていた作品だと分かります。
現場に残された麻雀牌のアルファベットが何を示していたのか
麻雀牌には同じ筒子の「7」と、アルファベットが刻まれていました。
数字の”7″は七夕を思わせ、アルファベットは後半で現場配置や被害者の並びを読む手がかりとして効いてきます。最初は異様なサインに見えるだけなのに、後半では犯人の計画そのものを示す印へ変わります。
被害者の持ち物が1つずつ奪われていた意味
本上和樹は被害者から1つずつ所持品を持ち去っていました。
これは連続殺人の演出であると同時に、水谷浩介へ疑いを向けるための仕掛けにもなっています。単に殺すだけではなく、犯人像そのものを水谷へ寄せる細かい工作でした。
「七つの子」のメロディが組織のボスのメールアドレスへつながる仕掛け
会議後に聞こえた携帯のプッシュ音が「七つの子」に聞こえたことが、コナンに組織の存在を確信させます。
これは組織のボス宛てのメールアドレス入力音と結びつくもので、普通の連続殺人に黒ずくめの組織が重なった決定的な合図でした。この発見がなければ、コナンの捜査はかなり違う方向へ進んでいたはずです。
カブトムシの羽に貼られたV字テープが最後の犯行現場のヒントになっていたこと
物語の冒頭、少年探偵団が見つけたカブトムシには、前羽へV字型のテープが貼られていました。
一見すると寄り道のような描写ですが、後半では”HELP”につながる救助のサインとして意味を持ちます。だからこの映画は、昆虫採集のような軽い場面にまでちゃんと本筋の手がかりを仕込んでいます。
京都のホテル火災と七夕が現在の事件へつながる流れ
一昨年の七夕に起きた京都のホテル火災で、本上なな子は命を落としています。
現在の連続殺人はその火災と強くつながっていて、七夕の日取りそのものが犯人の感情と計画を支える軸になっていました。七夕という季節感が、単なる背景ではなく事件の本体に食い込んでいます。
ベルモットが早い段階で事件の近くにいた理由
ベルモットは途中で人質役として現れ、コナンと接触します。
これはただの顔見せではなく、組織もまた警察より先に事件の中へ入り、メモリーカードを追っていたことを示す重要な場面でした。連続殺人と組織の目的が別々に動いているのに、同じ現場へ重なっていくのがこの映画の複雑さです。
コナンが夜の学校で指紋を調べられていたことの怖さ
アイリッシュは夜の帝丹小学校と帝丹高校に侵入し、コナンと新一の痕跡を照合しています。
事件そのものとは別に、コナン=新一の正体がかなり具体的に暴かれていく流れで、この映画の本当の恐ろしさが見える場面です。殺人事件を追っていたはずのコナンが、同時に自分の正体まで追い込まれているのがかなり重いです。
北斗七星と北極星の配置がラストの東都タワーを示していた点
被害者たちの位置関係を地図上で追うと、北斗七星と北極星の形が見えてきます。
最後の一点が東都タワーへ重なることで、星のモチーフと七夕のテーマがきれいにつながります。派手な組織パートの裏で、こうした見立ての美しさがあるのも『漆黒の追跡者』らしいところです。
黒衣の騎士と粘土の指紋が”コナン=新一”に直結したこと
アイリッシュは帝丹高校の学園祭で使われた黒衣の騎士の甲冑と、帝丹小学校に残ったコナンの粘土細工から指紋を照合し、コナンと新一が同一人物だと見抜きます。
これは事件の本筋とは別に、コナンの正体が最も具体的に危険へさらされた瞬間でもあります。劇場版オリジナルの組織メンバーがここまで核心へ触れたこと自体が、この作品の緊張感を強くしています。
アイリッシュが松本管理官に変装していても違和感が少なかった理由
松本管理官はもともと威圧感があり、口数も多くない人物です。
だからアイリッシュの大柄さや強い視線が、そのまま松本管理官らしさに見えてしまいます。変装の精度だけでなく、元のキャラの存在感まで利用していたからこそ、最後まで違和感が出にくかったのだと分かります。
漆黒の追跡者(チェイサー)で黒ずくめの組織とアイリッシュが特別に怖い理由

この映画の黒ずくめの組織は、単に遠くから圧をかける存在ではありません。
捜査本部のすぐそばに潜り込み、コナンの正体を暴き、最後は東都タワーへヘリで現れて、物理的にも直接襲ってきます。中でもアイリッシュは、組織の一員でありながらジンとは別の感情で動いているので、ただの敵役よりずっとやっかいです。
『漆黒の追跡者』の怖さは、黒ずくめの組織が”裏にいる敵”ではなく”警察の中にいる敵”として描かれたところにあります。
劇場版で黒ずくめの組織が本格的に前面へ出るインパクト
それまでの劇場版でも組織の気配はありましたが、本作では最初から最後まで正面に出ています。
連続殺人事件を追っていたら、そのすぐ横にジンたちがいるという構図はかなり衝撃的です。だからこの映画は”黒の組織映画”の入口として今も特別に語られやすいです。
アイリッシュが警察の中に入り込んでいたことの怖さ
アイリッシュは警察関係者に変装して捜査本部へ潜り込みます。
組織の敵が遠くではなく、会議の場そのものへ紛れ込んでいたと分かった時の怖さはかなり強いです。警察の安全圏がまったく安全ではなかったと示すキャラでもありました。
ベルモットが表に出てくることで空気が一気に本編寄りになる
ベルモットは中盤でコナンの前へ現れ、組織側も事件を追っていることをはっきり示します。彼女が表へ出るだけで、映画の空気は一気に本編に近い緊張感へ変わります。連続殺人の謎解きが、そのまま本筋の黒い空気と直結する感じがかなり濃いです。

ジン・ウォッカ・キャンティ・コルンまで動く組織映画としての濃さ
東都タワーの最終局面では、ジン、ウォッカ、キャンティ、コルンがヘリで一斉に動きます。
ひとりの犯人を追う映画なのに、最後は組織総出の包囲戦のような様相になるので情報量も迫力もかなり濃いです。ここまでメンバーがそろうことで、劇場版らしい特別感も一気に増しています。

アイリッシュがただの敵で終わらない立ち位置にいる理由
アイリッシュはピスコを慕っていた過去から、ジンへの私怨も抱えています。
だから組織の一員なのに、完全な一枚岩ではなく、コナンとも一瞬だけ別の感情線を持つキャラになっています。最後にコナンをかばう側へ回るのも、このねじれた立ち位置があるからです。
アイリッシュについてはこちら↓

組織が”仲間すら切り捨てる”集団だと改めて見せた映画であること
アイリッシュほどの幹部ですら、メモリーカードと一緒に処分されます。
組織の中での立場や功績より、情報が漏れないことが最優先だと分かる瞬間です。この冷たさを真正面から見せたことで、黒ずくめの組織の怖さがかなり具体的になりました。
漆黒の追跡者(チェイサー)でコナン=新一がバレかける緊張感

この映画で連続殺人以上に重いのが、コナン=新一の正体が組織へ具体的に迫られることです。
アイリッシュは単に”コナンが怪しい”と感じるだけでなく、実際に証拠を集めて突き止めています。灰原哀が最初から強く危機感を抱いているのも、それだけ今回の組織の近さが危険だったからです。
『漆黒の追跡者』は、コナンが事件を解く話であると同時に、コナン自身が黒ずくめの組織に最も近づかれた劇場版の一つでもあります。
アイリッシュはどこでコナンの正体に疑いを持ったのか
アイリッシュは捜査会議の中で、コナンと工藤新一の活躍が妙に重なっていることに気づきます。
そこから独自に調べ始めて、コナンの正体へ近づいていきました。つまり今回の危機は偶然ではなく、アイリッシュがかなり能動的に突き止めたものです。
帝丹小学校の粘土と帝丹高校の黒衣の騎士が決定打になった流れ
夜の学校へ忍び込んだアイリッシュは、帝丹小学校の粘土細工と帝丹高校の黒衣の騎士に残った指紋を照合します。
その一致によって、コナン=工藤新一だと確信する流れです。劇場版の中でもかなり直接的に正体へ届いた場面なので、怖さが際立ちます。
コナンが組織に最も近づかれた劇場版の1つとして見える理由
組織のメンバーが警察内部に潜り、コナンの素性まで暴き、最後は直接連れ去る。
ここまで近い距離でコナンと組織がぶつかる劇場版は多くありません。だから『漆黒の追跡者』は、後の組織映画と並べても独特の緊張感があります。
灰原哀が強く危機感を抱いているのが印象に残る
灰原哀は、組織の気配が近いことに早い段階から鋭く反応しています。
コナンが事件のほうへ意識を向けているぶん、灰原の危機感が”見えている恐怖”として際立ちます。だからこの映画の組織パートは、コナンだけでなく灰原の存在でさらに重く感じられます。
蘭や少年探偵団まで危険が及びかねない状況の重さ
コナンの正体が新一だと知られたということは、その周囲の人間まで危険へ入る可能性があるということです。
蘭が東都タワーへ駆けつける流れや、少年探偵団が前半で登場していることもあって、コナン一人の危機では済まない空気が強いです。だから終盤の対決には、事件解決以上の重さがのっています。
アイリッシュが新一の正体を知ったうえでどう動いたのかが面白い理由
アイリッシュは正体を知っても、すぐジンへ報告しませんでした。そこにはジンを失墜させたい思惑と、自分の手で決着をつけたい感情が混ざっています。
単純に情報を上へ流さないことで、アイリッシュというキャラの複雑さがかなり際立っています。
コナンの正体を知っている人物はこちら↓

漆黒の追跡者(チェイサー)で警察オールスター感が印象的な理由

『漆黒の追跡者』が面白いのは、黒ずくめの組織映画でありながら、同時にかなり濃い警察映画でもあるところです。
警視庁だけでなく各県警の刑事まで集まり、小五郎が特別顧問のように呼ばれ、広域連続殺人を真正面から追います。組織の不気味さと、刑事ドラマの熱さが同時に走るのがこの映画ならではです。
警察オールスターのにぎやかさがあるからこそ、その中へアイリッシュが紛れていた怖さも余計に強くなっています。
警視庁だけでなく各県警まで集まる合同捜査のスケール感
広域連続殺人事件なので、合同捜査会議には警視庁だけでなく神奈川、静岡、長野、群馬など各県警の刑事が集まります。
最初から舞台の広さが見えるので、ただの東京の事件ではないスケール感が出ています。劇場版らしい広がりを、爆破ではなく捜査会議で見せてくるのが面白いところです。
目暮警部・松本管理官・白鳥警部・高木刑事・佐藤刑事らが一斉に動く熱さ
おなじみの警視庁メンバーが一斉に前へ出てくるので、警察ファンにはかなりうれしい一本です。
しかも今回は松本管理官まで前面に出ているため、終盤のアイリッシュ変装にも説得力が生まれています。いつものレギュラーが”背景”ではなく、事件そのものの中核に置かれているのが熱いです。
長野県警や山村ミサオまで絡んでくることで広域事件らしさが増している
大和敢助、上原由衣、山村ミサオまで関わってくることで、事件の広域性がかなり強く実感できます。
特に山村の”七つの子”の気づきが物語を大きく動かしているのが印象的です。警察側の人数が多いだけでなく、それぞれがきちんと役割を持っているのがこの映画の強みです。
小五郎が”特別顧問”として呼ばれることでいつもと違う立場になる
小五郎は合同捜査会議へ招かれ、半ば特別顧問のような立場で事件へ関わります。
普段の”眠りの小五郎”とは少し違って、最初から警察側の一員のように扱われるので空気も少し変わります。だからこそコナンも、いつも以上に警察組織の中へ深く入り込む流れになっています。
刑事ドラマのような空気と黒ずくめの組織の怖さが同時に走る構成の強さ
広域連続殺人を追う刑事ドラマとしてだけでも十分成立しているのに、その裏で組織映画まで進んでいます。
どちらか一方に寄り切らないから、情報量が多いのに見応えが強いです。『漆黒の追跡者』が今も人気なのは、この二重構造がかなりうまくかみ合っているからでもあります。
この映画が”警察映画”としてもかなり満足度が高い理由
組織映画として語られがちですが、警察側の動きだけ見てもかなり豪華です。
会議、捜査、包囲、東都タワー集結まで、刑事ドラマとしての流れがしっかりしています。そのうえで最後に”その警察の中に敵がいた”とひっくり返すから、満足度が高くなっています。
漆黒の追跡者(チェイサー)で蘭とコナンの関係が印象に残る理由
『漆黒の追跡者』は黒ずくめの組織映画としてかなり硬派ですが、その中でも蘭の存在がしっかり感情線を支えています。
新一本人は表にいないのに、蘭の行動やコナンの判断にはずっと2人の関係がにじんでいます。組織との対決で空気が張りつめるほど、蘭がそこへ自然に近づいてしまう危うさも強く見えてきます。
本編に近い緊張感の中でも、蘭と新一の関係がちゃんと残っているから、この映画はただ黒いだけでは終わりません。
新一本人は不在でも、蘭の中ではずっと新一が大きい
蘭は東都タワーへ向かう時も、コナンの危機の中に新一の気配を感じています。
新一が画面の前に立たなくても、蘭の中ではずっと重要な存在のままです。その感覚があるから、終盤の緊迫した場面にも感情の芯が生まれています。
東都タワーへ向かう蘭の行動力がヒロインとしてかなり強い
蘭はただ待っているだけではなく、東都タワーへ自分の足で向かいます。
そこでアイリッシュと格闘戦まで繰り広げるので、今回の蘭はかなり強いヒロインです。組織映画の中でも、蘭の存在感が薄くならない理由がここにあります。
コナンが新一の声を使う場面がラストの余韻を深くする
終盤の危機の中で、コナンが新一の声を使う場面があります。
直接”新一”が現れるわけではないのに、その声だけで蘭との関係が一気に浮かび上がるのが印象的です。黒ずくめの組織が相手の映画でも、最後に残る余韻の一部をしっかり担っています。
組織映画なのに蘭の存在がしっかり感情線を支えている
ジンやアイリッシュや本上和樹の話が前に出ると、蘭は埋もれそうに見えます。
けれど実際には、コナンが守りたい側としてかなり大きな位置にいて、作品全体の感情線を支えています。だからこの映画は冷たいだけの組織映画にはなっていません。
コナンがひとりで抱え込む危険に蘭が自然に近づいてしまう切なさ
コナンは正体のことも組織のことも全部ひとりで抱え込みます。
けれど蘭はそれを知らないまま、いつもどおり大切な人を助けようとして危険へ近づいてしまいます。この距離のズレがあるから、東都タワーの場面はアクション以上に切なく見える部分があります。
本編に近い緊張感の中でも、新一と蘭の関係がちゃんと残る映画であること
組織に正体を見破られかけるような重い話なのに、最後まで新一と蘭の関係は消えません。
むしろ本編に近い危機だからこそ、2人の距離感がより強く浮かびます。そこが『漆黒の追跡者』をただ怖い映画で終わらせない理由の一つです。
漆黒の追跡者(チェイサー)は劇場版第13作として何が特別か
『漆黒の追跡者』は、劇場版第13作の中でもかなり転換点に近い一本です。
広域連続殺人の本格ミステリーとして見ても満足度が高いのに、そこへ黒ずくめの組織が主役級で入り込み、後半は完全に本編級の緊張感へ切り替わります。麻雀牌、七夕、北斗七星、東都タワーとモチーフも濃く、情報量が多いのに崩れません。
後の黒の組織映画へつながる流れを作りながら、それでも独自の不穏さを保っているところが第13作としてかなり特別です。
黒ずくめの組織が劇場版で初めて本格的に主役級で動くこと
本作は、劇場版ストーリーの中心に黒ずくめの組織が本格的に入り込んだ初めての一本としてよく語られます。コナンが事件を追うだけでなく、組織の幹部と直接対峙する構図が最初から最後まで続くので、緊張感がかなり濃いです。その特別感が、この作品を劇場版の中でも印象深くしています。
連続殺人ミステリーと組織映画を同時に成立させている構成の強さ
広域連続殺人の真犯人は本上和樹で、組織側はメモリーカードの回収とコナンの正体確認という別目的で動いています。
この二つの事件が最後に東都タワーで重なるので、情報量が多いのにちゃんと一本へまとまります。ミステリーと本編要素をここまで両立させた構成はかなり強いです。
麻雀牌、七夕、北斗七星といったモチーフの使い方がかなり濃いこと
この映画には、麻雀牌の数字、七夕の日付、北斗七星と北極星の配置といったモチーフが何層にも重なっています。
ただの飾りではなく、犯人の計画とラストの舞台に全部つながるので、見返すとかなりよくできています。記号の濃さが、この作品の独特な印象を支えています。
犯人側の復讐劇と組織側の暗躍が二重で走るため情報量が多いこと
本上和樹の復讐劇だけでも十分に重いのに、その横でアイリッシュが別の目的で動いています。
だから映画全体の密度がかなり高く、1回見ただけでは整理しきれない部分も出てきます。この”二重に事件が進んでいる”感じが、『漆黒の追跡者』を何度も見返したくなる理由でもあります。
アイリッシュという劇場版オリジナル組織メンバーの存在感が大きいこと
アイリッシュは劇場版オリジナルの組織メンバーですが、単なる一作限りの悪役ではありません。
コナンの正体を暴き、松本管理官に変装し、最後にはコナンをかばうという濃い役割を持っています。ここまで印象を残したオリジナル組織キャラはかなり珍しく、その存在感が作品全体の格を上げています。
後の”黒の組織映画”と比べても独特の緊張感がある作品であること
後の組織映画はスケール感がさらに大きくなっていきますが、『漆黒の追跡者』にはまた違う重さがあります。
警察内部へ潜り込まれる不気味さや、コナン=新一が静かに暴かれていく恐怖は、この作品ならではです。だから後から見返しても、独特のひりつく緊張感が残ります。
漆黒の追跡者(チェイサー)のネタバレ&事件の流れまとめ
『漆黒の追跡者』は、広域連続殺人を追う警察映画であり、同時に黒ずくめの組織が本格参戦する組織映画でもあります。
麻雀牌と七夕の謎をたどるミステリーの流れの中へ、アイリッシュの潜入とコナン=新一が暴かれかける危機が重なって、最後は東都タワーで二つの物語がひとつになります。見どころが多い作品ですが、時系列で整理するとかなりきれいに流れが見えてきます。
事件の流れ、伏線、アイリッシュの正体、そしてコナンと組織の距離感までまとめて見ると、この映画がなぜ今も特別視されるのかがかなりよく分かります。
流れを時系列で追うと、広域連続殺人と組織パートのつながりがかなり見やすくなる
前半は麻雀牌の連続殺人、後半は東都タワーでの真犯人対決と組織襲来という二段構えですが、時系列で追うと全部が自然につながります。
だから本作は、情報量の多さのわりに整理するとかなり見やすい作品です。事件と組織の線を分けて考えながら追うと特に理解しやすくなります。
伏線まで拾うと、麻雀牌や「七つの子」の意味が大きく変わる
麻雀牌、七夕、七つの子、カブトムシのV字テープまで、前半の違和感は後半でかなり意味を持ちます。
だから一度見終わってから振り返ると、何気ない描写の置き方がかなりうまいと分かります。組織映画としての印象が強いぶん、ミステリー側の丁寧さが見落とされにくい作品でもあります。
アイリッシュとコナン=新一の関係まで含めて見ると映画の印象がかなり深くなる
アイリッシュは敵でありながら、最後にはコナンへ別の思いを残して去ります。
だからこの映画は、本上和樹の事件だけを追うより、アイリッシュとコナンの関係まで見たほうがずっと深く残ります。組織の一員にもいろいろな感情があると見せた点でも、かなり重要な一本です。
警察オールスター映画として見ると、また違う面白さが見えてくる
警察映画として見ると、合同捜査会議や各県警の連携、松本管理官の存在感まで全部が違って見えます。
そこへアイリッシュが紛れ込んでいた怖さまで重なるので、単なる警察活躍映画では終わりません。だから『漆黒の追跡者』は、組織映画と警察映画の両方の顔を持つ作品として満足度が高いです。
犯人記事とあわせて読むと、本上和樹とアイリッシュの役割の違いまで整理しやすくなる
本上和樹は連続殺人の真犯人で、アイリッシュは組織側から別の目的で潜り込んでいた人物です。
この二人を切り分けると、映画がややこしいだけではなく、かなり計算された二重構造だと見えてきます。流れ記事と犯人記事をあわせて読むと、その役割の違いがさらに整理しやすくなります。

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